大手SIer A

<背景・目的>
A社では、生成AIを社内外のさまざまな開発プロジェクトで活用するため、各プロジェクトが個別に環境を構築するのではなく、共通的に利用できる生成AIプラットフォームの整備を進めていました。

生成AIの活用には、LLM、推論、学習、RAG、FTなどの環境整備に加え、セキュリティや運用、各プロジェクトへの展開を考慮した設計が必要です。一方で、プロジェクトごとに一から環境を構築すると、時間・コスト・技術的な負荷が大きくなり、生成AI活用のスピードが上がりにくいという課題がありました。

AX Consultingでは、生成AIプラットフォームを構築するプロジェクトにおいて、スクラムマスターとして参画しました。複雑な技術領域と複数チーム体制の中で、開発プロセス(主にスクラム/LeSS)を整備し、チーム間の連携を高めながら、アジャイルにプロジェクトを推進できる状態をつくることを目的としました。



<進め方>
AX Consultingでは、まずスクラムが十分に機能していなかった開発現場に対して、プロセス全体の見直しを行いました。バックログの構造化、ユーザーストーリーマップとの整合、リファインメントの導入、READY/DONE/受入基準の整備などを通じて、開発チームが次に取り組むべき内容を明確にしました。

また、スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、レトロスペクティブなどのスクラムイベントを設計・ファシリテートし、スプリント単位で継続的に開発と改善を進められるリズムをつくりました。

さらに、複数チームが同一プロダクトに関わる体制であったため、LeSS(大規模スクラム)の考え方を取り入れ、チーム間でバックログ、進捗、課題、改善点を同期できる仕組みを整備しました。スクラムオブスクラム、オーバーオールリファインメント、オーバーオールレトロスペクティブなどのLeSSイベントをを導入し、チーム間の認識合わせとコラボレーションを促進しました。



<手法>
本支援では、アジャイル/スクラムをベースに、複数チーム開発に対応するためのLeSSの考え方を組み合わせて支援しました。主に活用した手法は以下の通りです。
・スクラム
・LeSS(大規模スクラム)
・ユーザーストーリーマッピング
・バックログ管理
・インペディメント管理
・継続的改善
・アジャイルコーチング

また、チームメンバーのアジャイルやスクラムに関する理解を揃えるため、Wiki上にトレーニング資料を整備し、必要な場面でレクチャーを行いました。単にイベントを進行するだけでなく、なぜその活動が必要なのかを説明しながら、チームが自律的にスクラムを実践できる状態を目指しました。


<工夫・成果>
スクラムの形式的な導入ではなく、複数チームが同じプロダクトゴールに向かって連携できる状態をつくることを重視しました。バックログを一元的に管理し、チームごとの作業と全体の方向性が分断されないようにすることで、チーム間の依存関係や課題を可視化しました。

また、アジャイルやスクラムの経験が少ないメンバーに対して、日々のイベントや個別コミュニケーションの中で丁寧にレクチャーし、現場で理解・実践できるよう支援しました。必要に応じて上位マネジメントにもアジャイルで進める意義を説明し、現場とマネジメントの双方に対して共通理解を形成しました。

その結果、複数チームでのスクラム運営が安定し、バックログの精度向上、スプリント運営の定着、課題の早期可視化、チーム間連携の強化につながりました。また、スプリントレビューやレトロスペクティブを通じて、フィードバックを前向きに受け止め、互いの成果を褒め、改善を積み重ねる文化の醸成にも貢献しました。